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介護施設における「ワンオペ夜勤」

[2023.02.22]

こんにちは!東京都江戸川区のユニケア訪問看護リハビリステーションです。

 

筆者がいつも記事を執筆している某所では、今年に入ってから受験に向けて最後の追い込みをかけている方をよく見かけるようになりました。

1月の下旬あたりから中学入試が始まりました。直前期に親子でその場所に訪れているのを目の当たりにし、明らかに受験生とわかります。お子さまは合格目指して猛勉強し、お母さまはその横で見守りながら本を読んでいる、あるいはお母さまご自身も何らか勉強されている。本当に素晴らしいと思います。

どんなに頑張っても、全員が合格を勝ち取れるわけではないのが悲しいところ。

しかしどんな結果となっても、一定時期に目標に向かって懸命に努力したことそのものが尊く美しいと、筆者は思います。

このコラムが公開される頃には、高校入試も終わり、国公立大学の入試が始まる頃でしょうか。受験生の皆さま、ご自身がこれまで頑張ってこられたことを信じて、最後の1秒まで問題に食らいついていただき、合格を勝ち取られることをお祈りいたします。

 

本日のテーマ

今回のテーマは「介護のワンオペ夜勤」についてです。

「ワンオペ」という言葉は「1人で何かをすること」を意味し、あまりよい意味で使われないことが多いようです。

ワンオペ夜勤とは、まさに「1人夜勤」のこと。昨年末あたりに、業界団体が4万人の署名を集めて厚生労働省に要望書を提出したというニュースがありました。

 

介護施設におけるワンオペ夜勤は、筆者が過去に何度も経験し苦しい思い出があります。今回、この苦い思い出とトピックスが重なったため、今回取り上げさせていただきます。どうぞお付き合いいただけますと幸いです。

 

介護施設において夜勤者は何を行っているのか

夜勤を1人体制で行うことを意味する「ワンオペ」。

夜勤者は普段どのような仕事をされているのでしょうか?

 

夜勤者が普段行っている夜勤業務は、規模によって若干異なりますが一般的に下記の内容になります。

 

・ナイトケア

入居者様が食事後に口腔ケアや更衣介助等を行い、就寝されるまでの準備をします。

 

・定期的な巡回・安否確認

就寝時間後は、1~2時間おきにすべての部屋を巡回する安否確認を行います。

 

・モーニングケア

ご入居者様が起床される時間に合わせ、更衣や排せつケアを行います。

 

・夕食・朝食時の配膳や下膳、食事介助等

夕食や朝食時には、夜勤者が中心になって配膳や下膳等を行います。入居者様によっては、食事介助が必要な方もいらっしゃるでしょう。その場合も夜勤者を中心に対応します。

 

・ナースコールへの対応

夜間・深夜において入居者様から呼び出しがあれば、居室に駆けつけます。呼び出し内容は様々です。排泄介助だけでなく、認知症状のある方が徘徊されていれば対応し、時に不穏になって眠れないという場合にも対応します。

 

・急変や転倒時の対応

夜勤中にご入居者様が急変した場合や転倒された場合は、緊急対応を行います。施設の体制にもよりますが、状況によってはオンコール対応されている主治医や看護師に連絡し、支持を仰ぐことも・・・緊急往診をお願いすることもあるでしょう。

 

・介護記録の作成、施設内清掃の実施

上記業務の合間に、介護記録の作成と館内の掃除などを実施します。

 

長い夜勤時間において、これだけのことを行うのです。夜勤者の人数がいくら手厚かったとしても、決して簡単で楽な仕事ではありません。

 

それでも、夜勤者が複数人いればまだ分担等もできるかもしれません。施設形態や人員体制にもよりますが、日勤と夜勤のつなぎとして「遅番」「早番」「深夜勤」等、呼び方は様々ですが夜勤者の業務をフォローする体制を構築しているところが多いと思います。

こうすることにより、特に大変である「ナイトケア」「モーニングケア」を手伝ってもらえることが期待できるでしょう。

 

しかし、夜勤者が1名しかいない「ワンオペ」状態であったら・・・

 ワンオペ夜勤体制の施設は、比較的小規模な施設が多い傾向がありますが、それでも15名~20名位の入居者様に対して、上記の業務を「たった一人」で行わなくてはならないのです。

 

ワンオペ夜勤の「恐怖」

夜間・早朝における入居者様の様々なリスクに対し、夜勤者1名ですべて対応しなければならない責任と恐怖、ストレスは計り知れません。

医労連が実施した夜勤実態アンケートによりますと、ワンオペ夜勤を経験する方からの声が寄せられています。

・コールが複数重なり、対応しきれないことがたびたびある。
・看護師が1人なので、急変者が複数発生するととても対応できない
・センサーを使用する方が重なってしまったときは大変。優先順位を考慮しつつ、現場に走って向かわなくてはならない。
・ナースコールが何件か重なることなど日常茶飯事。5~6件重なった時は恐怖すら感じる。どうしたらよいかわからず冷静な対応などできない。

・あまりにストレスが溜まってしまい、入居者様に怒りをぶつけそうになったことがある。

 

この痛切な声を、スルーしてもよいのでしょうか?

 

夜勤体制の実態

介護施設では前述の通り、日勤(早番や遅番含む)と夜勤の2交代制を採用しているところが多いと思います。施設によってはさらに時間を細分化して体制を構築しているところもあるようです。

日勤は通常9時~18時(前後あるが8時間勤務)で、早番(概ね7時始業で8時間勤務)や遅番(概ね10時とか11時位の始業で8時間勤務)を設けています。そして夜勤は大体17時位~翌朝9時位までの16時間勤務、というところが結構多いのではないでしょうか。

 

早番や遅番勤務等を設けている理由は、ご入居者様のモーニングケアやナイトケアに対する業務負荷を夜勤者に集中させないためであります。

 

工夫に工夫を重ねて夜勤負担を軽減する施策を講じることで、早朝や夜間に手薄となる「ボトルネック」に対応しようとしているのです。

 

労働基準法では労働時間に合わせて休憩を取得させることを事業者に義務付けています。

長い夜勤時間の合間にも、当然ながら休憩を取得させることになっております。しかも深夜に勤務させることから、労働者の健康状態を考慮し、どこの施設でも夜勤者に仮眠が取れるような体制になっている「はず」です。

 

もちろん、仮眠がしっかり取れているという方のほうが多いとは思いますが、実際はそうなっていない施設も存在しているのです。

 

また、夜勤回数も大きな問題になっています。

夜勤は2日間勤務としてカウントします。1日8時間・週40時間勤務が法定されているので、月の夜勤日数は10回がほぼ上限となります。

また、夜勤明けの日の翌日は公休にしているところが多いはずです。

健康への配慮が理由ですが、こちらも施設については確保されていないところが存在するようです。

 

世の中には、24時間のサービスを提供し続けなければならない仕事は存在します。介護や医療はその中の一つです。

ですから、夜勤業務が発生するのは仕方がなく、どうしても誰かがやらなくてはなりません。

 

しかしそれでも、夜勤をするスタッフには最大限配慮をしなくてはなりません。

 

筆者はなぜここまで熱く「ワンオペ夜勤」を問題提起するか!

なぜ筆者はここまで熱くなって問題提起をするのか?

それは、自分自身がワンオペ施設に勤務し、本当に苦しい思いをした経験があるからです。

 

筆者が、入居定員22名で通所介護・訪問介護・居宅支援が組み合わさった「住宅型有料老人ホーム」にいたときのお話です。

 

その施設では、夜勤体制は1名でした。

筆者はそこの施設長をしておりましたが、夜勤シフトを毎日回すために綱渡りの状況でした。

会社の方針だったので仕方がないにせよ、スタッフに1名夜勤をお願いせざるを得なかったのです。

 

夜勤1名体制ということは、万一入居者様に何かあった場合には、どうにも身動きが取れなくなることを意味します。

毎日毎日、このような不安を抱えながら業務をされていたスタッフの心中はいかばかりかと、10年以上経った今でも思い起こしては心が苦しくなります。

 

夜勤はおおよそ20名にスタッフ1名という体制が一般的なので、そういう意味では22名という定員は中途半端でした。

夜勤2名つけるのはコスト上厳しいですが、ワンオペでは厳しい。非常に悩ましい環境でした。

 

ですので、施設長であった筆者は、不安定な入居者様や熱発等をしそうな入居者様がいた場合は、万一に備えて施設に泊まり込んでいました。もっとも、急変のリスクがあった場合は、事前に受診や往診等で対応していただき、夜間帯にリスクが伴わないように配慮もしていました。

 

しかし、そのように対応しても、夜間帯で急変や転倒等はどうしても起こってしまいます。

その場合は、筆者も対応します。時には救急車に乗ることありました。夜間であろうが早朝であろうが関係なく・・・

 

幸いなことに、近所にお住まいのスタッフが何人かいて、手伝っていただいたこともありました。

筆者自身は勤め先が自宅から非常に遠かったため、泊まり込みを選択しましたが、それでも帰宅後にスタッフから連絡があり、急遽車を走らせて駆け付けたことも何度もありました。お酒を飲んでしまっていた時は運転できませんから、タクシーを飛ばします。

もっとも、施設に勤務していた時は、お酒は極力飲まないようにしていましたが・・・

 

ひどいときは、月の半分以上泊まっていました。

月の残業、最大で250時間はしていました。月に1日も休みなく、朝7時位から日付が変わるまで仕事をしていたときもあります。

完全に労働基準法違反の状態です。

 

当然、夜勤の経験も多々あるわけですが、夜勤明けの翌日にまた日勤、ひどいときは夜勤が明けずにそのまま日勤し、当日8時から翌日の21時位まで40時間以上働いたこともあります。もはや正気の沙汰ではありません。

 

こんな状態が3年続きましたが、こんなことを長くやっていたら、人間的な生活はとてもできないと思います。

私が経験した夜勤のワンオペの現状は、こんな感じです。

 

最初の一歩は「声を上げる」こと

施設によって事情は異なりますので一概には言えませんが、ワンオペ夜勤に苦しめられている施設が今なお多い現状に変わりはありません。

今回、業界団体がこのことを問題視し、4万人もの署名を集めて改善を要望したという事実は、非常に重いと思います。

 

人材不足は否めませんし、国もそれは認識していて改善に向け最大限考えてくれていることも知っています。

テクノロジーは有効なツールの一つです。上手を活用すれば、夜勤業務の改善は見込めるかもしれません。

 

しかし、テクノロジーの活用は負担軽減の手段の一つであり、これをもって解決できるわけではありません。

なぜなら、テクノロジーを活用するのは「人」であり、危険をある程度予知してくれるものに過ぎないからです。

 

難しい問題ではあります。そうでなければ、筆者もあのような経験をしなくて済んだかもしれませんから・・・

やはりまずすべきことは「声を上げる」ことです。「どうせ何も変わらない」という前に、声を上げることがまずは必要だと思います。

声をあげた結果はどうなるかはさておき、まず大事なのは行動を起こすこと。そうでないと始まりません。

 

今回、業界団体が厚生労働書に要望書を提出したこと、大切な一歩であると思います。

やはり、最大の問題は「人手不足」であることは間違いないでしょう。

2024年度介護報酬改定において、このワンオペ夜勤問題がどの程度影響を及ぼすことになるかはわかりません。

しかし、このように声を上げていくことにより、真剣に議論がなされ、よい方向に導かれることを筆者は期待したいと思います。

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

ユニケアでは、今後も皆様にとりまして有益な情報を発信し続けてまいります。

そして皆様と手を携え、地域にお住まいのご利用者様のQOLを高めるため、訪問看護師・セラピスト等一丸となって取り組んでいく所存です。

 

ユニケアの活動にご興味のある方、お気軽にお問い合わせくださいね!!

 

【参考URL】

医労連 2020年介護施設夜勤実態調査結果

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