ケアプランデータ連携システム~訪問看護や他サービスにどう生かすか~
こんにちは!東京都江戸川区のユニケア訪問看護リハビリステーションです。
だいぶ秋めいた陽気になり、心なしか日も短くなってきたように思います。
まだ少し暑い日もありますが、確実に季節は変わりつつあります。
このような季節に変わり目は、体調を崩しがちになります。
私たち訪問看護師も、日々変化するご利用者様の体調を常に把握し、適切なサービスが提供できるよう日々努力しております。
そのためには、私たちサービス従事者も元気であらねばなりません。
皆様体調に留意され、元気にご活躍されることをお祈り申し上げます。
さてここ最近、当法人のホームページを閲覧してくださる方が増えてきているように感じております。
あまりにうれしく、筆者も毎日ニヤニヤ(笑)しながらアクセス状況を確認しておりますが、本当に多くの方にご覧いただいていてうれしく思っております。
本当にありがとうございます。
今回のテーマ
今夏以降、行政も2024年度の介護保険法改正・介護報酬改定に向けて、様々な議論が展開されております。
9月6日付の厚生労働省老健局「介護保険最新情報Vol.1096」において、国と国保中央会とで進めている「ケアプランデータ連携システム」が、いよいよ来年度にスタートする見込みであるとの情報を得ました。
まだまだ見えない部分はあるものの、皆様にとりまして非常に有益な情報であると思われましたので、今回はこのテーマを取り上げたいと思います。
是非お付き合いいただけますと幸いです。
もう待ったなし!「他職種連携」
過去に本コラムでも何回か取り上げてはおりますが、今後は他職種連携が絶対に欠かせません。
しかし実情としては、なかなか連携が進んでいるとは言い難い部分があります。
今でも、直接利用票や実績票等を持参しお届けする事業所も、まだまだあります。
情報漏洩への危惧や営業的側面もありますので、そういう方法を活用することは一理あると思います。
しかし、時間は有限です。
本来、ご利用者様に対するサービスの質を高めるために経営資源は活用されるべきではないでしょうか?
今回の最新情報は、そのようなことを真剣に考えるきっかけになり得ると思われます。
国が国保中央会と構築している「ケアプランデータ連携システム」とは?
介護保険最新情報Vol.1096 では、以下(引用)のような説明文が記載されております。
厚生労働省では、居宅介護支援事業所と介護サービス事業所の間で毎月やり取りされる居宅サービス計画書、サービス提供票や利用票(予定・実績)等について、事業所間でデータ連携するための標準仕様を作成・公開し、先般、改訂版を発出しております。加えて安全な環境で効果的にデータ連携を可能とするため、公益社団法人国民健康保険中央会(以下、「国民健康 保険中央会」という。)において「ケアプランデータ連携システム」を構築する事業を進めてきたところです。今般、本システムの構築・運用を行う国民健康保険中央会より、本システムの概要等について、資料の提供がありましたので、周知いたします。
と。
このシステムの概要を紹介するスライドもありましたので、一部ご紹介いたします。
このスライドを見ますと、居宅ケアマネさんと介護サービス事業所間で、ケアプランの情報のうちご利用者様の「予定・実績」に着目し、双方でそのデータのやり取りをすることにより、業務の効率化とコスト削減を目指そうとしていることがわかります。
・今ある介護ソフトから、ケアマネさんがケアプラン等を出力し、データ化してサービス事業所に送信され、事業所の介護ソフトに取り込む。
・介護サービス事業所が取りまとめたサービス実績をデータ化し、ケアマネさんに送信する。ケアマネさんはそのデータをソフトに取り込み、給付管理や介護給付費請求を行う。
・システム利用にあたっては「電子証明書」を取得する方法とし、当然ですがセキュリティには最大限配慮する。
・導入コストについては未定だが、極端なコスト高にならないよう配慮する。
等々、簡単ではありますが、筆者はこのように理解いたしました。
内容はもっと細かく、テクニカルなことは筆者にも当然わかりませんので、ここでの紹介は概要のみに留めさせていただきます。
いずれにせよ、あくまで「予定」とのことですが、早ければ来年度に本格稼働に向けて動いているようです。
このシステムが構築することの「メリット」と「不安」
これは文字通り、主として居宅介護支援事業所のケアマネジャーさんの業務負担軽減を狙っているものと思われます。
ただ、利用実績を介護ソフトに自動反映することが可能になったり、介護給付費の請求が楽になったりするのであれば、各介護サービス事業所にとっても大きなメリットがあると思います。
これがもし「本当に」実現し、かつ使い勝手のよいシステムであるならば、介護業界において大きなパラダイムシフトに結び付く可能性を秘めています。
もしかしたら「介護は事務仕事が煩雑で大変だ」という、いわばステレオタイプからの脱却が図られるかもしれません。
今後、介護報酬の総額は正直期待できませんし、期待しない方がよいかもしれません(この件につきましては、今後本コラムでも取り上げたいと思います)。
そんな中、もしこのシステムを活用することで、多少のイニシャルコストを負担してでも中長期的にはコスト削減が図られるならば、事業所の経営成績に良い影響をもたらし得ます。
この説明文だけを見た場合、何だか淡い期待が生じてしまいますよね。
しかしこの時点では、まだにわかに信用するわけにはいきません。
介護業界に限らず、行政が新たにシステムを構築しようとしても不具合が生じることが多いですから・・・
LIFEの導入の際も非常に混乱させられましたし、介護業界に限らずマイナンバー導入の際も、コロナ関連のシステム構築も、補助金のネット申請システムも、ちょっとアクセスが集中するとすぐにサーバーダウンが生じました。
このシステムについても、申請の際にサーバがパンクしてしまい、すぐに利用できないといった不具合が生じてしまうのでは、と心配してしまいます。
このようなことを言ってはいけないかもしれませんが、日本はITの推進が非常に遅いと言わざるを得ません。
「IT後進国」と揶揄する方までいらっしゃいますが、あながち間違いではないのでは?と思ってしまう位です。
淡い期待はありつつも、このシステムがどうなっていくのかについては、現時点では何とも言えない部分があります。
国と事業所側の「覚悟」と「本気度」が問われる?
先程も触れましたが、これがもし本格導入され、かつ使い勝手のよいツールであれば、非常にメリットが大きいと思われます。
しかし、それを左右するのは、国と事業所側の「本気度」と「覚悟」であると筆者は考えます。
国が、介護事業所の業務負担軽減について「本気」で取り組む気持ちがあるのか。
使い勝手が悪いがために浸透せず、結局無駄に終わってしまうような中途半端なものではなく、しっかりしたシステムを構築しようという覚悟が本当にあるのか。
また、事業者側の問題も否定できません。
忙しいのは重々理解できますが、それを何とかするために改革をする覚悟があるのか。
スタッフさんのITリテラシーを少しでも高め、アナログからの脱却を図ることに「本気」で取り組めるのか。
これが真に問われるのではないかと考えるのです。
サービス利用(提供)票や実績の送付を、FAXや手渡しで行うこともよいと思います。
しかし、それによって書類が膨大になり管理が難しくなり、その作業に多大な手間と労力を費やしていることを認識し、何とかしたいという気持ちがあるなら、今回の「ケアプランデータ連携システム」について考察されることは有効であると思います。
介護事業会社が、限りある経営資源を何に活用すべきか。
それは、ご利用者様へ提供する介護サービスの質を高めること、そのカギとなるスタッフさんの処遇を上げていくことです。
これを継続的に行うために、会社も適正な利益を上げていく、これに尽きます。
このシステムの構築がどう進んでいくのか、私たちで見守ってまいりましょう!
介護業界の未来が、少し明るくなる可能性を秘めていますので・・・
ユニケア訪問看護リハビリステーションでは、訪問看護師の魅力ややりがいについてこれからも発信し、同時に当法人の様々な取り組みについてご紹介してまいります。
そして、ユニケアのファンを1人でも多く増やすことにより、私たちが提供する訪問看護サービスの質をもっと高めていく所存です。
今回もお読みいただきまして、誠にありがとうございました。
【参考URL】